加熱式たばこに関する科学的な調査結果

JTはこのほど、加熱式たばこに関する科学的な調査結果をまとめ、紙巻きたばこから加熱式たばこに切り替えた場合、体内に取り込まれる健康懸念物質の曝露量は禁煙した場合と同様のレベルだったと発表した。これにより、加熱式たばこが喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性があることが分かった。

加熱式たばこに関する調査結果を発表したJTの小倉健資執行役員(左)と北里大医学部付属臨床研究センターの熊谷雄治教授

90人が7泊8日

たばこが及ぼす健康への影響は、非喫煙者だけでなく喫煙者も気になるところ。そんな中、JTが発表した加熱式たばこに関する調査結果は興味深いものだった。

調査は昨年9~10月、福岡県内の医療施設に90人が7泊8日で入院して実施された。

使用したのは、低温加熱型の「プルーム・テック・プラス」と高温加熱型の「プルーム・エス・2.0」に加え、他社の加熱式たばこである「IQOS 3 MULTI(アイコス3マルチ)」と「glo pro(グロー・プロ)」の4製品。

参加者は紙巻きたばこを2日間喫煙した上で、その後の5日間にそれぞれの加熱式たばこを使用するグループ、紙巻きたばこの喫煙を継続するグループ、禁煙するグループに分かれ、発がん性があるとされるベンゾピレンなど15種の健康懸念物質の人への曝露量などを調べた。その結果、加熱式たばこに切り替えたグループでは、健康懸念物質の曝露量が禁煙したグループと同様のレベルまで低減していた。

喫煙に伴う疾病のリスクの主な要因は、たばこ葉を燃焼させることで発生する煙中の健康懸念物質であると言われる。一方で、加熱式たばこはたばこ葉の燃焼を伴わず煙も発生しない。JTは同社が販売する加熱式たばこ「プルーム・テック」を用いた科学的調査でリスク低減の可能性があることを報告していたが、今回も同様の結果が導き出された。

調査に協力した北里大医学部付属臨床研究センターの熊谷雄治教授は「製品を問わず、加熱式たばこは紙巻きたばこの喫煙に伴う疾病のリスクを低減する可能性が高いと考える」との見解を示した。ただ、リスク低減が100%証明されたわけではなく「長期的な研究が必要」と付け加えた。JTは「今後もさまざまな調査・研究を実施し、科学的なデータや知見などのエビデンスに基づいた適切な情報提供を行っていまいります」としている。

改正健康増進法の施行、新型コロナウイルスに伴う自宅での生活時間の増加などにより、加熱式たばこへの関心が集まっている。既に愛用しているユーザーに加え、今後使用を考えている喫煙者にとっては、ひとまず喜ばしい結果となった。

調査に使用した「プルーム・テック・プラス」と「プルーム・エス・2.0」

コロナと喫煙の因果関係 さらなる結果の進展注視

○…調査結果が発表されたリモート会見では、新型コロナウイルスと喫煙の因果関係に関する質問も出た。JTの小倉健資執行役員は「これまでの報告では、感染者における喫煙者の割合は、調査実施国の喫煙者率よりも低いという結果が多く認められている」としながらも「科学的には十分に明らかにされていない」と捉えていた。喫煙と重症化に関するデータについても「不十分と認識している。さらなる調査結果の進展を注視していきたい」と話した。

<4月28日 スポニチ本紙掲載記事>

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